図書室の思い出

子供のころから読書が好きだった。

いじめられっ子だった私は、休み時間になると図書室で1人過ごしていた。

遊び相手もいなく、コソコソからかわれる教室は耐えられなかったからだ。

 

そこで江戸川乱歩シリーズを隅から隅まで読んだものだ。

小説は主人公や登場人物すべてを想像させてくれる。

人間だけでなく、景色も時代も空気の雰囲気までも。

今、いる現実から離れることができるのだ。

 

その想像力は国語の読書感想文だけでなく、音楽の授業にも活かされた。

クラッシックのレコードを聴き、感想を書くという課題だ。

頭に中で音の1つ1つが現実とは異なった世界になる。

 

しかしそのようなものは、先生の好みでないと評価されないので成績につながるものではなかった。

 

大人になった今も、本を読み音楽を聴くとその世界が頭の中で広がっていく。

それは作者の意図としなかったものかもしれないけれど。

 

そうそう、休み時間にいじめられないように、隠れて本を読んでいた私に声をかけてくれた子がいた。

 

同じクラスのやはりなじめない男の子だった。

本の話や普通のおしゃべりはとても楽しかった。

 

でもその子は「私のことが好きだ」と噂をたてられ図書室には来なくなった。

胸が痛む思いでだけど、その子のことは悪く思っていない。

 

元気だといいな。

 

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